今日は佐々木俊尚さんの『電子書籍の衝撃』刊行記念講演会に行ってきた。昨日、編集・ライター養成講座の卒業制作を提出し終え、電子書籍をテーマにして卒業制作を書いた私は、もうしばらく、電子書籍はいいや、と思っていたのだが、インタビューを受けてもらったお礼も兼ねて行ってきた。会場には150人ぐらい来ていたのだとか。講演で熱っぽく語る佐々木さんの姿を見て、こういう凄い人だと知っていたら、怖じ気づいて直に取材なんて申し込めなかっただろうなぁ、と思った。無知は時に無謀な勇気を生む。
ついでにいうと、卒業制作の過程で『電子書籍の衝撃』の販売元であるディスカヴァー21の干場社長にもインタビューをしていて、その干場社長が会場にいらしたので、挨拶をしたところ、「どなたでしたっけ?」との返事(笑) あの時、編集会議の卒論でインタビューさせて頂いた・・・と説明しても、何となく分かってないっぽかった。いや、別にいいんだけどね。いやいや、本当にひがんでいるわけではなく、素人のインタビューを受けた事なんか忘れてしまうぐらい、色んな人と仕事してるんだろうな、と思って。だって、ディスカヴァー21は定期的に読者会みたいのを開いていて、その度に、著者やゲストの有名人とかと会ったりする訳だから・・・。そういえば、今日の講演会には、「404 Blog Not Found」でお馴染みの小飼弾氏も来ていたなぁ。
・・・しかし、今回はあまりその講演の話をじっくり書くつもりはない。それについてはまたもうちょっと考えが纏まってから書く。
取り合えず、同じ会場にいたtsudaり仲間の@yusuke3ta さんのツイートを勝手にまとめさせてもらったので、講演の内容が気になる人はそちらを読んでくらはい。
Togetter – まとめ「2010/04/06 「『電子書籍の衝撃』出版記念講演会」における佐々木俊尚氏講演内容のまとめ」
おっと、前置きが凄く長くなったけど、今日の講演にインスパイアされて、と言う訳ではないが・・・いや、少しはあるのかな? 佐々木さんとちょっと違う角度でネットの未来を考えてみた。それがマネタイズの話。まあ、ともかく、圧倒的にウェブの時代が来てるな、と思ってね。随分と前から「FREE」を読んでて、まだ読み終わってないんだけど(笑)、とにかく、この本はなぜモノの値段がタダでも商売になるか?を徹底的に調べている。で、今読んでる章では、ウェブにおいては、固定費などはタダみたいなもんだから、ウェブサイトならページビューを増やすなど、とにかくユーザーを増やして、その時点でマネタイズするモデルを考えても遅くない、みたいな話が書いてある。しかし、僕はマネタイズに関しては、そんなに悠長に構えている場合ではなく、そろそろ真剣に考える時期が来ていると思う。というのも、ユーザーが増えたのはいいが、このユーザー達からどうやったらお金を払ってもらえるだろう?と思っている制作者達が、既にいっぱいいるのではないか、と思ったからだ。
だから、FREEじゃなくて、マネタイズ。いくらネットで事業を展開するのに、極端な費用が掛からないとは言え、ユーザーが増えれば、要望もふえ、アフターケアも必要になる。そうなると運営側もマンパワーが必要になり、そのマンパワーをどう確保するか、と言えば、それなりの賃金を払う他ない。そんな訳で、運営側にお金がある程度入ってこないと、サービスの展開が難しい。
ネットのサービスはタダだろ、みたいに思ってる人はいっぱいいると思うが、ネット環境、サーバー環境がこれだけ良くなってくると、いよいよサービス業としてのネットのプレゼンスは高まってくる。そうなるとそこである程度、お金が回っていかないと、やっぱり不景気になるよねぇ。それに、ネットの世界でお金が回るのはとてもよいことだと思っていて、なぜなら、ネットの世界はフラットだから。ネットでは、訳の分からん規制や既得権益がなく、また誰が偉いだどうだ、ということも全く関係なく、みんながが良いか悪いか、使いやすいか否かのみに注目して、サービスを利用する。だからこそ、しっかりしたマネタイズのモデルがあれば、ちゃんと仕事をした人に相応のお金が入る、という仕組みが自動的に出来ると思うのだ。
その中でも重要なのが、ソーシャルメディアの中でのマネタイズ。今日の佐々木さんの話によると、ソーシャルメディアの中で宣伝し、モノを売るのは非常に難しいらしい。というのも、ソーシャルメディアは、商品の価値を高める色々な口コミ、ブロガーのオススメや、ツイッターで見かけたオススメなどで、購買意欲を煽る場所ではあるが、その購買意欲を刈り取る場にはなっていないと。確かに、ソーシャルメディアの中で商業的にモノを宣伝したりすると、お前本心で勧めてるんじゃなくて、金目的かよ!というような事になりかねない。結局、ソーシャルメディア上で、あれこれいいじゃん、買おう、と思ったユーザーは、iTunesストアやアマゾンにモノを買いに行ったりする。iTunesストアやアマゾンは物販のプラットフォームであり、ソーシャルメディアとは別の場所である。そこでも、ユーザーの評価など、口コミ的要素はあるものの、基本的には売られているものを買うだけだ。もしかしたら価格コムはプラットフォームとソーシャルメディアの橋渡し的役割をこなしているのかもしれないが、もう少しスマートなやり方はないだろうか。
だから、マネタイズの難しいネットでキチンと収益をあげられている、色々なモデルを調べたいなぁ、なんてね。もう卒論とかは終わってるんだけど、個人的興味として。
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