昨日、私が通っている編集・ライター養成講座の飲み会があって、遅れてきた私は、一番入り口から近い空いている席に座った。で、飲み会が始まって、近くにいた二人と私の三人が何気なく手元に置いたのがiPhone。ちょっとしびれたね。大げさに言うと時代を感じた瞬間だった。
さて、今日の話は、全てはモバイルに収斂されるって話と、iPhone繋がりって訳ではないけど、孫正義の話。
実を言うと、iPhone使ってまだほんの数ヶ月なんだけど、孫さんじゃないけど、すぐにこれってある意味パソコンいらずだな、と思った。でも画面の大きさの制約、入力のしにくさ、とかの障壁、(ついでに言えば、ソフトバンクの電波の繋がりも悪い!)とかで、まだまだパソコンの出番はあるけどね。
ただ、クラウド化がどんどん進んで、恐らく近い将来には、端末は単なるモニター化すると思う。要するに難しい計算などは、全部クラウドの向こう側でやってくれて、こっちはその結果を受けて返すだけみたいな。だから、パソコンのスペック競争のベクトルの向きがちょっと変わるか、あるいはスペック競争自体にあまり意味がなくなるか・・・。
そこでちょっと思い出したのが、去年のソフトバンクの孫社長とドコモの山田社長の対立。
孫社長「Wi-Fiが答えだ」 山田社長「Wi-Fiより3G」 ソフトバンクモバイルとドコモが新サービス (1/2) – ITmedia News
両者の考え方に決定的な違いがひとつある。それはWi-FIは携帯会社のものではないが、3G回線は純粋に携帯会社のインフラだということ。でね。携帯会社の社長としての発言としてならば、山田社長の言い分に理があると思う。だって、その方が自分の会社に利益が出るから。
ただ、デジタルデバイスがモバイルに収斂されるとして、その時無線通信のインフラとしてベストなのは何かと問われたら、それは間違いなくWi-Fiの方だと思う。私はiPhoneをいち早く手にした孫さんは、一企業の利益を越えて、とにかくいち早く無線通信環境を整えなければならない、と感じたんだと思う。・・・これって孫さんを買いかぶりすぎなのかな?
ここでもう一度見直したいのは、孫さんがどうして携帯事業に参入してきたか、ってこと。恐らく携帯事業自体は将来的になくしてもいいと思ってるんじゃなかろうか。彼がこの10年ぐらい、一環して行ってきたのは、ネット環境のインフラ。まだ10年は経たないと思うけど昔ヤフーBBのADSLモデムを持ったおねーちゃん達が、各駅前にこれでもかというぐらいいたことをみんな覚えてると思う。それに釣られてヤフーBBに申し込んだ友達が、サービス開始は遅い、アフターケアの体制が全く整ってないで、ひどい目にあったのを聞いてるけど、とにもかくにも強引なやり方と値下げでADSLの普及に貢献し、今では世界一ブロードバンドが安く使える国になった。ここで彼がやったのは有線通信のインフラ。
で、彼が携帯会社を買収してまでやりたかったのは、無線通信のインフラだったのだと思う。だから3G回線とかそういうのは、ほんとに過渡期の一過性のものでしかなくて、恐らく、孫さんはiPhoneなどを通じて、ユーザーにスマートフォンの重要性を認識させ、もっと言えば、全国民にスマートフォン+世界一の無線環境を与えて、日本を世界で最もネット環境の整った国にしよう、ぐらいに思っているんじゃなかろうか。
その頃には、みんなSkypeかなんかで通話するようになって、もはや通話料を取られる様な時代じゃなくなるのかもしれない。いわゆるFREEってやつ。今その「FREE」読んでるところだけど、ちょっと前では考えられなかったものが、タダ、あるいはタダ同然になってるっていう事例はたくさんあるから、それを考えると携帯の通話料がタダになることもそんなに驚くべきことではないかもしれない。
ちょっと妄想めいてると感じるかもしれないが、それでも半分以上この予測は当たってる気がする。
別に孫さんを特別応援してるって訳でもないんだけど、だから上記の記事の意味って、単にWi-Fiか3Gか、っていう話ではなくて、携帯事業しか頭にない経営者の発想と、携帯事業はあくまで経過地点に過ぎないと思っている経営者の違いを表したものなんだと私は理解している。
未来の予想は難しいけど、モバイル化というのが当面のキーワードであり、目指すべきゴールであるのは間違いない。孫正義がその時代にどんなビジネスを展開する気かは分からない。ただ、そこまでの具体的な青写真は絶対描いてるはず。ドコモはどうか? 政府はどうだろう? なかなか興味は尽きない。