『楢山節考』考

 
連休中に今村昌平の『楢山節考』を観た。重いなー、重い。別に連休中に見なくても良かったかな(笑) 観たきっかけなんだけど、一番最初は(と言ってもごく最近だが)、『復讐するは我にあり』を見て、こりゃ凄いと思って『赤い橋の下のぬるい水』を見て、こんなお馬鹿な映画も撮れるんだと監督の柔軟さに感心して、ついでに『カンゾー先生』も観て、そして満を持して借りたのが『楢山節考』。

実はこの映画の存在は子供の頃からずっと知っていた。当時のカンヌ(83年?)でパルムドール取ったことがニュースになったのを子供心に覚えていた。ただ、子供だったから、観てはいないんだけど『戦場のメリークリスマス』にパルムドールを取って欲しかった。坂本龍一にビートたけしに、かっこいい外国人(当時はデビッドボウイとは知らなかった)、そして教授の作った一聴して名曲と分かる印象的なテーマ曲。エンディングのシーンなのに堂々と宣伝で使われてしまっている原軍曹を演じるたけしがローレンスに向かって言う「Mr.ローレンス、メリークリスマス!」というシーンのそれぞれが印象に残りまくっていたから、子供には暗すぎる重すぎる、絵に花がなさすぎるの『楢山節考』がグランプリ取ってずっこけた訳。

その『楢山節考』なんだけど感想は・・・とくに細かくはいいか(笑) とにかく相変わらずのエログロなんどけども、まあそれが重要な外せないシーンなんだな。それがよく分かる。それにしても今村昌平は人間に対する理解が凄い。キューブリックみたいにちょっと引いた目線で人間を見つめる人の作品だと多少見るのも楽なんだけど、この人はとことんコミットするというか・・・その分見てるのが楽ではない。

で、ふと思ったんだが長編は『赤い橋の下のぬるい水』が遺作な訳だが、あの映画、結構あっさりしてるのね。老人になるってそういうことか、とちょっと思ったりして。『楢山節考』や『復讐するは~』がステーキだとしたら『赤い橋の~』はお茶漬けだもの。随分とクセのあるお茶漬けだけどね(笑)

そんなことをツラツラと思った。とにかく邦画にも凄い映画はいっぱいあると言うことだ。俺が知らないだけで。

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