監督について
北野映画は・・・半分ぐらいは見てるかな。キタノブルーと言われる青が印象的・・・というよりは、画面から滲み出る、渇いた、凄く客観的な感じと、常にある死の影が、ブルーを彷彿とさせる、そんな感じだろうか。超一流映画監督とも思わないが、そこいらの芸人上がりの監督とはやはり格が違うと考えたい。
本編評
青春ものなんだね、これ。主人公達が挫折していく様は、いかにも北野らしい冷徹な視線が感じられるが、それでも意外と他の作品よりは死の影が薄く、希望もある。北野映画であまりに一般受けを狙ったものはちょっと面白くないし、かといって内向的過ぎる映画は私はとっても好きだが(「TAKESHIS’」とか本当に好きな映画)、一般受けしない。そういう面でいくと、この映画は、難解でもなく、しかも一般受け狙い過ぎずで、北野映画の中では一番バランスが取れてるのかもしれない。ヤクザとか、主人公を堕落に導くダメな先輩とかは、とてもリアルな気がする。そんな人達を浅草時代にいっぱい目にしてきたんだろうなぁ。
おすすめ度(★5点満点)
★★★☆☆
思ったより、普通の映画だった。たけしが出演していない分、画面がさわやかで良かったが(笑)、特上の青春もの、のレベルまでは行ってないかな。主人公達を含む底辺の人達の悲哀がリアルに描かれてる点は評価するけども。私は「TAKESHIS’」とか「ソナチネ」とか、ああいう狂気を感じる作品が好きなので、北野監督にはもう一回、エンターテインメント度外視の狂気の作品を撮ってほしい。