このままでは「人手不足倒産」という悪夢が現実になる(磯山 友幸) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)
カネ、カネ、カネ。全ての問題はカネです(笑) ある程度キツくてもそれなり賃金が保証されていれば、多くの場合、人手不足は解消されると思う。(キツイというのももちろん限度があるが) だけれども、実際は末端や現場の人達は驚くほど少ない給料で働かされている。
これが高度成長期であれば、人口増加も見込め、インフレもやむなしという空気が醸成され、将来のインフレを織り込んでいよいよ給料UPとなる。しかし、世界経済も停滞し、人口減少の最前線にいる日本では、多くの企業が成長を見込めないでいる。更には日本独特のお上と平民意識の抜けなさからくる、労働者軽視の風潮も手伝って、劣悪な労働環境、異常に低く抑えられた賃金で働かざるを得ない労働者が非常に多い。
この状態で人口減少に歯止めをかけると言われても、一体どうやって? と首をかしげるよりほかない。
まあでも、竹中平蔵の肩を持つわけではないが、雇用の流動化というのは進めていかないといけないかもしれない。といっても、それには一にも二にも次の就職先がすぐ見つかりそう、という環境が整っていることが大前提。現状では高齢になればなるほど転職事情は厳しくなる一方だし、しかも転職先の給料の方が安くなるというイメージが強い。
そういう現状を打破するためにも、新卒一括採用でそのまま内定、入社を勝ち取った人はそれなりの人生が、そこからあぶれた人は二流の人生が待っている、といった硬直しきった採用制度は廃止されるべきだと思う。終身雇用制度はとっくに崩壊したのに、新卒一括採用の制度だけ残っているのは明らかにおかしい。
他にも考えなくちゃならないことは色々あるんだろうが、どこよりも先に人口減少社会を迎えるのはこの日本なのだから、日本人全員が、昔のやり方は一切通用しない、と腹をくくって立ち向かうよりほかない。
・・・結局、話は元に戻るが、労働者目線で言えば、とにかくカネ。労働に見合った賃金。一昔の様に子供を食わせていけないから、口減らしに奉公に、などと出来るわけでもなく(楢山節考だと赤ん坊を畑に埋めてたね・・・)、金がないからと子供に必要なものを買い与えなければ虐待を疑われる。そういう意味でも最低限、子育て可能な賃金という概念も今と昔では違ってきている。その現代の価値基準においてのカネがちゃんと末端まで行き渡る制度作りと意識改革が急務。少なくともその答えはトリクルダウンではない。