久々にCD購入。買ったのは椎名林檎の「三文ゴシップ」。・・・次買うCDはビートルズのリマスターかもしれない。普段は日本のアーティストのアルバムを買うことは滅多にないが、やっぱり林檎嬢はちょっと気になる。東京事変はあまり気にならなかったんだけど・・・。
で、まだちょっとしか聴いてないけど、感想を。
まず思ったのはキャッチーな楽曲が減ったなぁ、ということ。それはしょうがないとしても、詩の世界観にしても曲調にしても何か似たものが多い気がした。アレンジは巷で言われるほど、ジャジーでもないと思う。ただ、今回は亀田誠治をプロデューサーから外し、それぞれの曲にそれぞれのアレンジャーを配したことでアレンジの幅はぐっと広ががり、その点は成功していると思う。
ただ・・・東京事変の頃から思っていることなのだが・・・なんというかアレンジに隙がなさすぎて、ちょっとうるさい感じがする。参加ミュージシャンはどれも抜群のテクニックでそれぞれに聴かせるのだが、それでもあくまで匿名性が漂うというか、それほど個性を感じない。椎名林檎という強烈な個性がいればそれだけでいいのかもしれないが、個人的には、ああ、これは誰の演奏だな、と分かる特徴あるミュージシャン達ともっとミニマムな構成の隙のある音楽をやって欲しいと思う。例えば、ユーミンの初期のアルバムでのユーミンとバックのキャラメル・ママの演奏とか、一頃の井上陽水と高中正義とか・・・ソロアルバムと言えども、そういう科学反応が見てみたい気がする。ま、あくまでこれは僕の好みの問題だけど。ただ、現代においては、椎名林檎に負けない様な彼女と同世代の個性的なミュージシャンがちょっと見当たらないのも不幸と言えば不幸か。
さて・・・なんかマイナスな意見ばかり述べてしまったが、やはりちょっと作り込みすぎだとは思うものの、素晴らしい出来だったソロ名義の初期3枚の名を汚さぬ良い出来だとは思う。これだけの仕事を出来る日本のミュージシャンってやっぱり他にはそういないと思うし・・・。それにしても、やっぱりこの人はソロがいいんじゃないかなぁ。東京事変を見てると、昔デビット・ボウイが組んでたバンド、ティン・マシーンを思いだしてしまう。ちょっと辛辣な言い方だけど、なんかバンドごっこというか、バンドという枠組みの中に一時的に避難してるというか・・・。
椎名林檎はまだ若い。確固たる地位を維持し続けるシンガーソングライターである為には、ある一定レベルのキャッチーなフックを持つメロディを書き続けなければならない、という点において、ちょっと大丈夫かな、という気はしないでもないが、それでも、椎名林檎の30代、40代はどんなだろう、と期待を持たせる。そして・・・そろそろ、20歳頃の椎名林檎の様な衝撃的な圧倒的な早熟の天才がそろそろ出てきて欲しい・・・かな。