『松本人志のコント MHK』第1回を見ての雑感。

松本人志の真髄と言えば、やはりコントだと思うので、ダウンタウンの他の番組はもう見てないけど、こればっかりは見てしまう。で、感想を言えば、普通に面白かった。ツイッターのタイムライン見てたら、「クオリティ下がった。」とかいうツイートが目立ったけど、私はそんな風には思わなかった。見た人は分かると思うけど、例えばあの影絵のやつとか、松本人志以外に誰が作れるの?と。だからもし昔よりつまらなくなったと感じるならば、それは見る人の姿勢に原因があると思う。


だいたいテレビのコント番組を『北の国から』みたいに2〜3年振りのお楽しみ、みたいにして見るのが、ちょっと違うと思う。その時点でちょっと構えてしまっている。ドラマはそれでも見られるけど、コント番組は、見る側が若干緊張してたり、評論してやろうという気で見てるともう本気で笑えない。その辺が意外とデリケートというか、笑いの難しいところ。まあ、本当にたまーにしかテレビでのコント番組を披露しない松本人志も悪いと言えば、悪いのだが。

で、テレビでのコント番組が本当に面白い時って、例えばあるキャラクターのコントがあったとして、その初回がめちゃめちゃ面白い、ということはそう滅多にない。キャラクターの設定が段々極端になっていくほど面白くなっていく。『ごっつええ感じ』で言えば、「キャシー塚本」とか「ミスター・ベーター」の中盤ぐらいのやつをいきなり見ても、「何だ?このキチガイは?」と引いてしまうと思う。後、上記でも触れたが、毎週見られるという気安さ。だから、今回の『MHK』も出来ればワンクールでもいいから週一でやってくれれば、見る方も慣れてくるし、作る方も肩の力が抜けて、数合わせの片手間で作った変化球の作品が意外と面白かったり・・・とか、そういうマジックもあったと思う。だから全5回・・・そりゃ最近で言えば、頑張ってたくさんコント作ったのには間違いないけど、『サラリーマン NEO』と同じ頻度ぐらいでやってくれないと、あんまり評価はされないのかなと思ったりして。

ところで・・・この番組を放送するに際して松本人志が『NHKでやるから言う訳ではないが最近NHKしか見なくなった。』と言ってた。これは私も全く一緒。昔は逆に民放しか見てなかったのに。ただ、ここに来ての松本人志とNHKの急接近は理解出来る気がする。ちゃんとしたコントをやろうと思ったら、セットを組むのに予算が掛かるが、今の民放ではそれが適わない。また、松本人志の単発のコント番組は数字が取れない。だから民放で松本人志のコント番組が放送されることはもうないだろう。しかしNHKには潤沢な予算があるし、そしてここが最近のNHKの良いところなのだが、視聴率が低くても、一部で反響の大きかった番組、賛否を呼んだ番組は続編を作ってくれる。後、若いディレクターの実験的な番組も結構ある。だから最近はEテレも見たりしている。

そこへいくと民放は・・・まあ書くまでもないだろう。ただ視聴率偏重主義や不況による予算削減で若手ディレクターのやる気は大いに削がれていることと思う。他のメディアよりも即興性、ハプニング性が求められるテレビが、保守的になったらもう終わり。面白い番組はマーケットリサーチによって作り出されるのではなく、制作者のアイディアや執念によって生み出される。それこそスティーブ・ジョブズが言った様に、「消費者は自分が欲しいものの形を具体的にはまだ知らない」のだ。

ま、『MHK』の初回を見て、思わず『ごっつええ』をやってた頃を懐かしみながら、改めてテレビでのコント番組の難しさを感じたり、昔と今の民放とNHKの関係性が異なって来たことを思ったりした。別に松本人志が『MHK』見てそんなことを感じてくれ、とは思ってないと思うが・・・。

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