Nスペ『激動イスラム 第1回 アラブの春はどこへ ?エジプト 変質する民主化革命?』を見て。

第1回 アラブの春はどこへ ?エジプト 変質する民主化革命?

Nスペ見てたんだけど、大変なことになってるねぇ。見ていてずっと感じていたのは、長きに渡り独裁者が支配していた国がいざ解放され、良い方向に進むかと思いきや、より混迷を極めてしまう、という皮肉。イラクに始まり、いわゆるアラブの春で解放された国がどこも直面している問題だ。


エジプトの場合、独裁が続いたのはイラクと一緒だが、政権が親米であった、という点が180度違う。で、この点が事態をよりいっそう複雑化させている。民主化デモを経て、大統領に選ばれたムルシ。彼はイスラム同胞団を支持母体に持つイスラム勢力出身なのだが、国内経済の悪化を防ぐため、アメリカとこれまでと同様の協調路線を取ろうとする。かくして、穏健派イスラム国家として、うまく舵取りできるかと思いきや、ムバラク政権時代の軍部や司法委員会の不満、急進派イスラム勢力の不満、またイスラム勢力によって固められた内閣が独裁に走るのではないか、と不安を抱くアラブの春実行者である若者達の不満、色んな不満を孕んで、不穏なガスが充満しきっている感じである。現にイスラムを侮辱したとされる内容の動画がアメリカでアップされ、アメリカ大使館が襲撃される。そのことを発端に、アメリカのエジプトへの投資が遠のき、エジプト経済は急速に悪化している。

貧困が進めば、政治不信を生み、そういう不満を原理主義者やテロリスト達が利用したりして、そこまで行くと、あっという間に最貧国まで落ち込んでしまう。独裁国家・・・発言、行動の自由のない国は最悪だが、貧困にあえぎ、武力闘争やテロが頻発する国も最悪だ。ただ、あんまり刺激するような事は書きたくないが、人々が正義を宗教に求めている間は、問題は解決しないと思う。行き過ぎた資本主義も問題だが、宗教の名の下に、宗教が持つ寛大さ、隣人愛などを曲解し、世界を恐怖に陥れる人達はもっと問題があると思う。

そういう意味では、話はすこし飛躍するが、中国というのは現在進行形で凄い実験をしていると思う。中国もある意味、共産主義という新興宗教で纏められた国であり、しかもその根本思想から対立している資本主義を受け入れつつ、国を纏めていこうとしているのだから、中東諸国の混乱を見れば、中国は奇跡的な舵取りをしているのかもしれない。

まあとにかく、この世から宗教がなくなる訳でもなく、また資本主義、民主主義に変わる、人々を統治するシステムが出てくる様子もなく、で、こういった問題が解決を見るには、100年、1000年単位の時間が掛かるのではないか、と思った次第。そのくらい問題は根深い。

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