最新のマツダ・ロードスターを駆る!
先日、レンタカーでマツダのロードスターを借りた。1.5LのMT。グレードはよく分からなかったが、マツダ純正のナビがついていた。
しかし、改めて実物を見ると、実にかっこいい。最近のマツダ車の一連の『鼓動』デザインはどれもかっこいいが、そのデザインの集大成がこのロードスターに集約されている気がする。グラマラスかつシンプル。
一方、いざクルマに乗り込んでみると、インパネまわりはそれほどデザインが主張するところはない。ただ、ステアリングにナビや電話のコントロールボタン、そしてギアボックスの下に同じくナビコントロールの為のノブ、と最新のクルマの装備はちゃんと備えている。こちらは飽きのこない実用優先のデザインといった感じ。
6速MTの洗礼!?
ところで今回6速MTを初めて運転したのだが、早速、バックのギアの位置が分からない(笑) シフトノブを見ると、1速の左横に「R」とある。(下記写真クリックで大きくなります。 出展:レスポンス(Response.jp)より)
どの時点でこの事に気づいたのか忘れたが(出先でいざ駐車しようと思って分からなかったら恐怖だ(笑))、とにかく1速の更に左横にシフトが入る感触がなかったので、慌てて説明書を見ると、「Rに入れるときは、チェンジレバーを下方向へ押しながらR方向へ操作してください。」とある。??? 一旦2速の方に下げて、そこから左上に押し上げるのだろうか? しばらく分からなくて途方に暮れていたが、やがて、ニュートラルのポジションで一旦垂直方向に押し下げると1速の更に左にギアが入るのが分かった。いやー、5速MTしか乗ったことがなかったからこれには焦ったよ・・・今の教習所では教えているのだろうか?
ロードスターの実際の走行感覚
今時のクルマの操作を一通り確認した後、いざ出発。MT車といえば、最近は『エニカ』で借りたアルファロメオ156の感覚しかなく、アクセルをちょっと踏めば、すぐ2000回転、しかし丁寧に繋がないとすぐエンスト、というのを予想していたが、ロードスターのアクセルはえらくジェントルで、どんなに油断してても1速はスルスルとすぐ繋がる。しかも、ヒルローンチアシストというのがついていて、坂道発進でもバックしない! 思ったより、MT操作の敷居が下がっていて、これには驚かされた。
さて加速性能についてだが、エンジンは比較的おとなしい印象だった。元気な2.0NAエンジンであれば、3000回転ぐらいからシートに押し付けられるような加速感を味わえるが、そういった感触は全くなし。だが、かと言ってストレスが溜まるものでもない。急な山道も2速まで落とせばスイスイ登る。まあ丁度いいというか、少なくともドライバーのやる気を煽るようなエンジンが売りのクルマではないということか。
一方で、クルマの挙動についてだが、正直、凄く普通というか、フラットという印象だった。これは全く悪い意味ではなく、例えば、たまに格安のレンタカーを借りて、10何年落ちのパッソなんかを乗る機会があるのだが、首都高のカーブとか凄く怖い。きついロールでクルマが流されて、すぐにアンダーステアになる感覚がありありと分かる。それに比べると、ロードスターは全くロールする感覚がなく、ド安定。ちょっと高速でコーナーに入ると、ジリジリとリアタイヤが流れそうかな?というのを感じる程度で、いずれにしてもすぐにでも外に飛び出しそうな怖さはない。これこそがまさに普通というか、あるべきクルマの挙動だと思った。同乗者の嫁さんも若干速いスピードでコーナーに入っても怖さは全くなかったと言っていた。
ホンダ・S660と比べて
以前に借りたS660はATだったので、シフトのフィーリングなどは比較出来ないが、優劣的にどちらが上というのはあまり感じなかった。たしかにロードスターには全てに置いて余裕がある。エンジンもハイパワーではないが、必要十分だし、トランクルームも普通にある(笑) しかし正直に言うと上段でも少し触れたが、凄く普通だなと思った。まあ普通と言っても、その普通がかなり高いレベルで纏められていて、このクルマの乗り味を覚えてしまうと、背高のっぽのコンパクトカーが、いかにドライビングプレジャーの中核たる部分を削ってしまっているか、がよーく分かる。そういう意味では普通だが、気負うことなくずーっと長いこと楽しく乗れそうなクルマだな、と思った。後、デザインは最高。スポーツカーはこれ抜きには語れないからね。その点では文句の付けようがない。
一方S660もなかなか忘れがたいクルマだ。660ccながらターボがよく出来ていて、遅いと感じることは全くない。もちろん排気量の制限があるので、エンジンが景気よく回転してる割にはスピード出てないな、と思わないこともないが、それはそれでこのクルマらしい、常にやる気にさせる演出でいいと思う。そうドライバーに思わせるのは、このクルマがミッドシップで、シートのすぐ後ろからエンジン音が聞こえるのも関係していると思う。後、シャシーの剛性も高いし、軽に乗ってるというよりは、街中で走れる小さなレーシングカーに乗ってるという感じがする。ただ、一切収納スペースがないというのは、凄いというかなんというか・・・何しろ、二人で乗ったら、二人分の折りたためない普通の傘はどこに置こうか、といった感じ。故にこのクルマは一人乗りで、助手席が荷物置き場なんだ、と主張してる人もいるぐらい。走行感覚で言えば、S660の方がソリッド。このクルマにくつろぎデート運転という概念はない。
そんなわけで、おなじオープンツーシーターと言っても、かなり味付けも用途も異なるので、これはこれで比較しようがない、というのは正直な印象。敢えて言えば、たった一人でがっつり運転を楽しむつもりだったら、S660を選ぶかもしれない。まあ、それもそこだけに焦点を絞れば、という話だから・・・
まとめ
一時期国産車はミニバンやSUVばっかりになって、面白そうなクルマが一切見当たらない時期もあったが、こうしてライトウェイトのスポーツカーがポツポツと出て来たのはうれしい限り。それも私は上記の2車種しか乗っていないが、どれも出来が良くて、個性的。こういうところは素直に喜びたい。はぁ、本当にライトウェイトの国産スポーツカー、欲しいなぁ(笑)