監督について
オーソン・ウェルズはこの映画しか評判を聞いたことがない・・・。ただ、25歳にして監督・製作・脚本・主演と全てをこなしたエネルギーは凄い。後は英語教材「イングリッシュ・アドベンチャー」のイメージ(笑) まあ、これも古い話だが・・・。
本編評
映画のオールタイムベストなんかの企画では必ず上位にくる作品なので、知識としてみておこうかぐらいの気持ちで見たのだが、テンポ良く進むストーリーで(むしろ、前半はテンポが速過ぎる・・・)、普通に楽しく見れた。ただ、これが世紀の名作かと言われれば、2016年の目で見れば、まあどうだろう?という感じ。話も、現在ならもっと繊細で、深みのある脚本の映画がいっぱいある。ウィキとか見ると、映画で始めてディープ・フォーカス(パンフォーカス)を使用した、とか、奇抜なカメラアングルなど、後の映画の礎となる発明も多々あったようだが、それらのフォーマットにすっかり慣れた現代人にしたら割と普通に見えるかもしれない。
ただちょっとこの映画が損してるな、と思うのが、フィルムの状態が非常に悪い点(※1)。1941年でもフィルムの質がこんなに悪い訳がない。調べると、オリジナル・フィルムは消失し、質の悪いコピーを元にしているのだとか。せめて、もう少しフィルムの状態が良ければ、凝ったセットや演出が楽しめたのに、とは思った。想像するに現在の映像技術、キャメラの性能を活かして、同じセットで取ったら、相当リッチな映画になると思う。
おすすめ度(★5点満点)
★★★☆☆
まあ現状のフィルムの状態(※1)から言えば、映画史を振り返るつもりで見たければ、という感じかな。オリジナルのフィルムが残っていれば、豪華なセット、光の演出、凝ったカメラアングルなどがよりはっきり見ることが出来て、また違った印象を抱くと思うのだが・・・。ただ、25歳で新聞王の栄光と挫折を全て描ききったウェルズのエネルギーは凄い。
※1:私はTSUTAYAのレンタルでこの映画を観たのだが、どうやら劇的に画質がアップしたデジタルリマスター版があるらしい。それって、オリジナルフィルムが見つかったのか、あるいはより保存状態のいいコピーが見つかって、それにデジタル処理を施したのか・・・。気になる。