監督について
押井守監督。アニメ界の巨匠であることは知っているが実はあまり作品を見たことがない。作品を見たことがあるのはパトレイバーぐらいか。
声優について
無邪鬼という人の夢を操る重要なキャラクターが出てくるのだが、その声をなんと藤岡琢也が演じている。基本的に関西弁のキャラクターなのだが、その関西弁が、明石家さんまやダウンタウン以降の全国の人にも分かりやすいテレビ用のライトな関西弁ではなく、かなりこてこての関西弁。これが逆に新鮮に聞こえて良かった。最初は誰がアテてるのかも知らずに、随分上手な声優がいるなぁ、と感心したが、エンドロールに藤岡琢也の名前を見てびっくりしたと同時になるほど、と納得もした。声だけでも流石の演技力。エンドロールを彼の名前を確認してもあまり藤岡琢也の顔は浮かばず、あくまで無邪鬼のキャラクターだけが思い起こされた。コロンボの小池朝雄といい、やはりこの頃の俳優は凄い。某ジブリ映画なんか見てると声優本人の顔が全員思い起こされてアニメに没入しきれない(^_^;)
本編評
そんなにアニメやアニメ映画を見る方ではないが、この映画の評価がやたらと高いので観てみたが・・・普通に傑作だった(笑) 内容は友引町が毎日学園祭前夜を繰り返すというタイムループものであり、それがラムの夢の中の出来事である、という2017年現在においては手垢のついた感のある設定であるが(公開当時はかなり斬新な設定だったと思う)、夢を巡ってのあたると夢を操る無邪鬼の対決の画が斬新で飽きさせないし、また無邪鬼のキャラクターも善と悪、利己と利他の間で揺れ動いて、かなり奥行きのあるキャラクターだ。
この映画はシリアスな設定とうる星やつらならではのドタバタのバランスが絶妙だ。もし、うる星やつらという原作がない押井守監督のオリジナル脚本では、このシリアスさとドタバタ加減が絶妙にミックスされたこのテイストは出なかったであろう。
おすすめ度(★5点満点)
★★★★☆
うる星やつらの原作を知らなくても十分楽しめるが、登場人物たちの関係性は全く説明されないので、その辺を考慮しておすすめ度としては満点からマイナス1としておく。
ただ、上記にも書いたがシリアス(時間、空間、夢に対する考察)とドタバタ(学園祭前夜の学生たちの青春を謳歌してる様子がよく描かれている)のバランスが非常によく、時間も90分という短い時間でテンポよく展開し、冗長な部分が全くない。故に、取り敢えず原作が人気なので、映画化してみました、という類の映画の範疇には収まらない素晴らしい映画で、『うる星やつら2』というネーミングで損してる部分はあるかなと思う。アニメ好きじゃなくても、原作を知らなくても十分オススメ出来る映画だ。