【しがない映画評・その15】セブン

 
監督について
デヴィッド・フィンチャー監督。他に「ファイト・クラブ」や「ドラゴン・タトゥーの女」など。

役者について
モーガン・フリーマン、ブラッド・ピット、そしてグウィネス・パルトロウ。出色なのはやはりケビン・スペイシーだろうか。うまいなこの人は。セクハラ騒動でせっかくの名声に傷がついてしまってもったいない・・・

本編評
7つの大罪をモチーフとした連続殺人を退職間近のベテラン刑事、サマセット(フリーマン)と新人刑事、ミルズ(ピット)のコンビで追いかける訳だが、ただ7件の連続殺人を解いて終わりではない。そして最後は衝撃のラスト・・・

さてここからネタバレ。

予想外に早く犯人が見つかる展開、そしてまた予想外の自首、この辺りのテンポの良さに引き込まれる。ダンテの神曲や、チョーサーのカンタベリー物語などを持ち出していささか衒学的ではあるが、だからと言ってそれらを読んでいる必要もなく、そうはいえども、ラストシーンによって、7つの大罪の意味を否応なく観客に突きつける、という見事な演出。まあかなりの胸くそエンディングではあるのだが、そうはいってもこれ以外に映画としてのベストな結末もなかったと思う。

私は・・・実はスペイシー扮する犯人が自首してきた時点で、ある程度結末が見えた。これは別に自慢でもなんでもなくて、自首した時点でまだ分かっていない残り2つの殺人、ピット扮するミルズ刑事の妻に対する愛情を示すシーンの挿入と余所で妻のことを語る台詞。こういった執拗な印象づけによって、ああ、こいつミルズ刑事の妻を既に殺してるな、そして最後はミルズ刑事に”復讐”されて犯人自身が死ぬんだな、と想像させるのに十分なヒントが詰まっている。おそらくそれそこが監督の狙いなのでは?と思った。そういう嫌な、一番あって欲しくはない結末を予感をさせておいて、いやいやいやいや、でも、あーやっぱりー、みたいに手のひらで踊らせるように上手に観客を引き込んでいる。まあ、その辺りのからくりに気付かなければ気付かないで文字通り衝撃のラストが味わえるし、例え結末の予想がついたとしても避けられない運命をただ傍観するしかない居心地の悪さを抱えながら、ラストシーンを目の当たりにする、といういずれにしても良く出来たシナリオだと思う。

おすすめ度(★5点満点)
★★★★☆
星4.5という感じで。
胸くそなエンディングに圧倒されつつも、人間の罪について考えずにおられず、他人にこの映画を見た感想を聞いてみたくなる。猟奇的連続殺人がテーマなので、ところどころグロいシーンもあるが、どれも殺人が済んだ現場検証でのシーンなので、思ったほど表現はキツくはない。まあしかし、全ての事件のカタが付いた後、サマセットとミルズはどういう人生を送ったのか・・・少なくとも彼らが犯人の仕掛けた勝負に永遠に勝つことは出来ない。

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