まあ、これだから若い選手に嫌われるんだろうな。
V9時代というのをこの令和でどれだけ知っている人がいるのかは知らないが、とにもかくにも当時と現在では野球のスタイルが違う。スポーツ科学も進化して、アスリートの身体についても現場レベルで情報が共有されているだろう。
ましてや今シーズンは100年に1度あるかないかの異常なシーズンで、スケジュールも非常にタイトだ。
そういう意味で投手温存というのは、ある意味常識的な選択肢といえるが、とは言え日本では前例がないことを巨人がやったというのは、正直、原監督なかなかやるな、巨人が強いのも資金力にものを言わせて、選手を集めてるからだけではないな、と思った。
まあ伝統が大事というのは分かる。伝統なんて10年20年で作れるものでもないし、人間、変わってはいけない本質というのもある。
だけれども、一方で巨人は常勝を期待されている訳で、野球自体が進化する中で常勝を求められるのであれば、やはり巨人の野球も変わり続けなければならない。
巨人は伝統と常勝の両方を期待されており、監督を引き受けるにはおそらく阪神の次ぐらいに面倒なチームだと思うが、原監督は長い監督経験から、1にも2にも勝ち続けなければ、まずもって話にならない、ということが身に染みているのだと思う。だから1ゲームを捨てて、シーズンでの優勝を見据えた。
こういった姿勢はある意味、中日の監督時代の落合にも似ていると言えないだろうか。
落合は「優勝さえさせればいいんでしょ?」と非常に冷徹に守り勝つチームを作り上げ、負け試合はきっちりと捨てていた。
試合を捨てると必ず、その日しか見に来られないファンに失礼、みたいなウェットな話が出るが、トータルでみれば、シーズン通して大きく負け越したり、最下位になることの方が、よほど非難を浴びる。
正直、原監督は落合元監督より頭脳的でもなければ、冷静でもないと思うが、巨人軍を率いて勝つこと、負けることについては誰よりもその重みを感じているだろう。だからシーズン通して勝つ采配をする。
試合を最後まで諦めない、ひげは剃る、などの伝統さえ守っていれば負けてもいいなどと思っているファンは一人もいないだろう。むしろ巨人にとっては勝ち続けることこそが一番重要な伝統であり、原はその原則に則って采配を振るっている。
煩型(うるさがた)のOBが多い中で、この采配が出来たのも原監督が結果を出し続けたから。高橋由伸前監督では決断出来なかったろう。
まあ、そんな訳で阪神ファンの私としては、やはり原監督率いる巨人はやっかいだな、また堀内監督に戻ったりしないかな、と考えたりするわけである(笑)