雑誌は生き残れるか?

今回はちょっとした思考メモ。

今、吉良俊彦氏の「ターゲット・メディア主義―雑誌礼讃」という本を読んでいる。

著者の吉良さん、実は、先日、編集・ライター養成講座の講師として講義をされ、その講義が大変感動的だった。そして、講義の後、教室の出入り口にこの本がちゃっかり置いてあったので、勢い余って購入。実のところ、え?今更、雑誌の話?みたいな印象はあって、恐らくあの講義で受けた感動と、その場での即売(?)がなければ買ってなかったと思う。が、いきさつはともあれこれもひとつの縁。さっそく読んでみた。


内容は、みんなが知らなければならない情報を一方通行で伝えるマスメディア(例:重要な政治的ニュースや気象情報など)と、よりターゲットを明確にして細分化したターゲットメディア(男女それぞれのファッション・ライフスタイル等)に分け、それぞれの特性について分類、説明するところから始まる。

その辺はああなるほど、と思って読んだ訳だが、そこからがちょっと凄い。戦後を始まりとして、主要な雑誌の創刊・休刊についての細かな年表がかなりのページを割いて載せられているのである。ジャンプすら読まなかった私にとっては、へぇ、そんなことになってたのか、と驚きの連続。そして何より驚いたのが、どの雑誌もターゲット読者層を徹底的にリサーチし、そして想定していることであった。

若干話は逸れるが、最近、電子出版のリサーチをしていて、その中で、ネットでの広告の進化について知るに至った。それは、サイトの訪問者の嗜好と全く関係ない単なるバナー広告から、検索エンジンで調べられた語句とリンクした検索連動型広告、そして現在ではサイト内で蓄積されたユーザーの購買履歴から次のそのユーザーの嗜好にあった商品をオススメするレコメンデーション、等という一連の流れのことだが、・・・これはさらに余談であるが、これからはジオロケーション(地理的情報)を駆使して、例えば、ある30代サラリーマンで年収500万円、家族構成が妻子供の3人の男性には、こんな広告を・・・というレベルではなく、この人は通勤にどこからどこへ行くから、勤務先のお昼の時間帯には、その人のケータイなりのモバイル端末に勤務先近辺のお弁当屋さんの広告を、そして自宅の最寄り駅で、帰りの時間が遅い時には、居酒屋の広告を、等という、若干恐怖感を覚えるような、より細かいターゲティング広告の時代に移る様である。

それはさておき、とにかくネットで、成長は恐ろしく速いが、これまで比較的単純だったターゲット戦略が、雑誌の世界では戦後すぐから、ずーっと行われ続けていたのである。

そこでふと考えた。私が取材に伺わせてもらったITジャーナリストの方は、ハッキリと私の前で「雑誌はなくなるでしょうね。」と断言された。確かに、雑誌とwebが一番、ユーザーを奪い合う近い位置にいると思うし、そして間違いなくwebに多くの人がなびいてきている。しかし、どうなんだろう。男性は概して特に機械系の新しいモノが好きだから、そういう男性特有の嗜好もあって、紙媒体はちょっと危ないのかもしれない。ただ、女性はどうだろうか。機械大好き、パソコン大好きという女性はあまり知らないし、ファッション、ライフスタイルの提案などにおいても、男性よりもより夢があり、ゴージャスなものが求められる。

最近、ちらちらと女性誌を手に取って見たりもするのだが、そのビジュアルには圧倒されるものがある。そして雑誌のブランド力もある。webでともかく乏しいものは、ビジュアルの豪華さ、そしてブランド力である。たまにFlashをガンガンに使った凝ったサイトがあるが、私の場合、早く情報に辿り着きたいので、さっさとスキップボタンを押してしまう。ビジュアルの豪華さは確かにあるのだが、その代わり、ロード時間、再生時間を大人しく待たなくてはならないというトレードオフがある。そして、まだ雑誌の様なブランド力も全くない。誰しもがうっすらとでも知っているサイトと言えば、ヤフーのポータルサイトと他に何があるだろう。それは紙媒体で言えば、朝日新聞、読売新聞を知ってるというレベルであって、web上の専門的な各サイトは、オレは男だけど、CanCamとかJJとかの名前ぐらいは聞いた事あるよ、というレベルには到底達していないのである。

とにかく、画面一面を使った派手な広告よりもGoogleの三行広告の方が、効果があったりするレベルであるwebの世界であるから、広告、サイトをよりゴージャスに、そしてブランド力まで持たせる、というのには、もう少し時間がかかるかもしれない。あるいは、webというものは、そういうことには全く適さないメディアなのかもしれない。

・・・とそんなことをツラツラと考えていると、意外と雑誌ってしぶとく生き残るんじゃないか、なんて気がして。どうなんだろうね、実際。

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