「GT-X970」でフィルムをスキャンする。

ちょっと仰々しいタイトルだが、なるべく検索に引っ掛かり易いタイトルの方が親切かと思って。「GT-X970」とは目下のところ、エプソンのフラッグシップモデルのフラッドヘッドスキャナだが、この度、フィルムで撮った写真をブログなどに公開すべく、このスキャナーを買ってみた。フィルムスキャン自体初めてなので、他との比較などは出来ないが、備忘録も兼ねて、私自身がウェブでの記事を拾いながら、フィルムに含まれた豊かな階調を最大限もらさずスキャンし、最終的に好みの写真に仕上げる工程をここに記しておきたいと思う。

私が使用しているのはパソコンはiMac。Core 2 Duo 2.4GHz、メモリ3GBなので、結構ハイスペックなパソコンかもしれない。そしてスキャンに使用するドライバはエプソン純正のEPSON Scan。そしてレタッチはPhotoshopで行う。Photoshopはスキャナーに付属しているElementsでも十分事足りると思う。

さて、フィルムホルダーにフィルムをセットし、これでもか、というほどブロアーで、ガラス面とフィルムについたゴミを吹き飛ばした後、スキャンする訳だが、ここでドライバであるEPSON Scanの設定。取り合えず下記の写真の様に、「サムネイル表示」以外に付いているポッチは全て外す。

そして、一番下の中央の「環境設定」から、「カラー」に行って、「常に自動露出を実行」のポッチを外し、ガンマ値をWindowsであれば 「2.2」、Macであれば「1.8」に合わせる。

追記:Macの場合、OSXからガンマ値は「2.2」になっているようです。

さて、もしかしたらお気付きの方もいるかも知れないが、ここまでの設定は下記サイトの内容を完全にパクらせてもらっている。

Xylocopal’s Photolog : ネガフィルムスキャン入門 改訂版

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なので、上記サイトを見てもらえば、以下の記事を見る必要などまるでないのだが、一応私なりの工夫を少々。上記紹介サイトの記事の通り、基本的にはそれぞれのヒストグラムの両端をギリギリまで詰めるのだが、その前に一度、1番目の写真の画面の「アンシャープマスク〜」のポッチの上の自動露出のボタンを押した後、隣のヒストグラムの画面に入る。すると、プレビューの画面は非常に見栄えがするが、上下の階調がバッサリ落とされている無残なヒストグラムを目にするので、プレビューの画面を頭に入れながら、各色の両端のスライダーを山ギリギリのところまでそれぞれ持って行く。カラーネガの場合、フィルムがオレンジ色に塗られているせいか、レッドの色の出し方が難しいが、写真にもよるがレッドのスライダーの右端のスライダーを少し右に・・・要するにハイライトに余裕をもたせるか、あるいは中央のスライダーを同じく右寄りにすると赤味が取れてくる。

EPSON Scan上で全ての作業を終えても、まだ薄ぼんやりとした画像にしかならないが、後は加工ソフトに任せるのでOK。ただ、プレビューの画面上で明らかに色調がおかしいと加工ソフト上でも難儀をするので、眠いながらも、白が白に見える程度の補正はしておきたい。

さて、上記サイトの方ほど上手ではないが、下記にヒストグラムを両端ギリギリまで追い込んで、加工用データとして完成したものをそのままJPEG化したしたものと、Photoshopでレタッチした後の画像をアップしてみる。

天候のせいもあるが、素のスキャンでも十分に見られる。右側はあずやまの右上のゴミを取り、青、緑を鮮やかにし、そしてアンシャープマスクを少し掛けて画像をシャープにしてみたが、全体的に冷調で緑もあざとい感じがするかもしれない。ただ、この辺りは好みだし、さじ加減ひとつなので、あくまで見た目通りを目指すも良し、ここで若干のカラーをつけるも良し、とにかく自分の思った通りの色にすればいいと思う。

とにかく、便利機能はなるべく使わず、こまめに手動で拾える階調は全て拾い、その取捨選択はあくまでレタッチソフトの上でする、というのが、結局のところ、ネガの階調を活かしたフィルムスキャンの醍醐味と言えよう。

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これだけだと、ただ上記サイトの紹介に終わってしまうので、今度は「GT-X970」自体のお話。6400dpiでスキャン可能だが、私は半分の3200dpiにしている。理由はとにもかくにもサイズが大きくなりすぎること。3200dpiでも、おそらく1000万画素相当のピクセル数が稼げると思う。ただ、レタッチ自体は大きい画像を直接いじって、最終段階で初めて小さくする方が、画に破綻がないように思うので、これ以下ではスキャンしない。ところで、この「GT-X970」、数値的にどの程度までのラチチュードを拾えるのか気になるところであるが、それを比較した記事があるので紹介したい。

Love → PENTAX : 【追記あり】あいも変わらずDレンジ

上記サイトによると、同じCCDを使用している「GT-X770」と比較しても拾えるダイナミックレンジの幅が異なる様だ。そしてやはりSuper Coolscanは高価なだけあって、素晴らしい数値。もっとも、私に見分けがつくかどうかわからないが・・・。

ところで、「GT-X970」は一台、一台、技術者の手によって微調整がなされてから出荷されるらしいが、それでもピントがイマイチ、という時の為に、フィルムフォルダにはかせるゲタまで用意されている。ここまでやっているとなると、フラッドヘッドスキャナと言えども、フィルムスキャナーには負けない、というエプソンの意気込みが伝わってくるようだ。

ただ、だからと言って万人に「GT-X970」をオススメする訳でもない。私レベルでは出てくる画に関しては「GT-X770」でも満足しただろうし、何しろ筐体がでかくてすごーく邪魔。スキャナの質は高い方がいいには決まっているが、それよりも、どういう設定でスキャンするか、の方が、仕上がりによっぽど影響すると思う。

以上、大変長文になってしまったが、以上が私のスキャンのやり方。結局、人の言う通りやってるだけなんだけど・・・。ただ、とにかくドライバの設定は機械任せにせず、手動で追い込んだ方が絶対に結果がいいので、モニター上のスキャンデータの見栄えを少しでも良くしたい人は、私同様、是非真似してみてほしい。ほんの少しの手間を加えるだけで、格段に結果が異なるはずだから。

「GT-X970」でフィルムをスキャンする。」への4件のフィードバック

  1. こんばんは。こちらにもお邪魔します。

    気合いの入った記事ですね。とても参考になります。
    ちなみにネガからのスキャンだったのですね。
    わたしはネガのスキャンは最近あまりしていませんが、
    ポジと違って明確な答えが無いので、とても難しいと実感しています。
    ただ、その分奥が深く、始めると中々終わらなくなってしまいますよね(笑)

  2. Inagy Takaさん、いらっしゃい。こちらのブログでは、スパム扱いしませんでしたね。やっとスパムキャッチャーが学習してくれたかな?

    そうなんです。実はネガからのスキャンでした。フィルム名も明記すべきでしたね。確かFUJIのSuper400とかいう、ごく普通のカラーネガです。いきなりリバーサルで撮るのは難しかろうと思いまして、まだ挑戦していません。リバーサルに関しては、実は次のフィルムをTREBI100を用意してまして、これからリバーサル初挑戦です。はて、露出がうまく出せますか・・・。

    ネガからのスキャンは確かに答えがないので、本当にやりだすとキリがないですが、リバーサルよりもネガの方が階調が残るらしいので、作画の自由度は高いんでしょうね。撮ったまま、またフィルムの特性を活かした美しさを求めるならリバーサル、スキャンデータを自由にこねくりまわすならネガといった棲み分けが出来るでしょうか。

  3. Xylocopalさんのブログは私も以前から何度か参考にさせてもらってるんですが、
    スキャニングテクニックについても解説されていたんですね。
    ちょうどこれからフィルムを使おうかと思っていたところなので、
    ボーノさんの解説ともども、プリントアウトしてじっくり読ませてもらいます(^^;

    SUPER COOLSCAN 5000 EDはマルチスキャンにおいての数値ですかね…
    ニコンサロンの人には「あんまし関係ない」と言われたのでV EDにしたんですが、
    ポジの暗部再現にはほとほと困っておりますです。

  4. この記事はそんなにアテになりませんけどね〜。しかし、Xylocopalさんの記事は、プリントアウトしてじっくり読む価値ありますね。本になっても良いぐらいだと思います。
    ポジの暗部再現は難しいですか。私の測光は完全カメラ任せなので(普通、それを人は”測光”とは呼ばない・・・)、アンダーだったら終わりですね・・・。今、リバーサルで撮ってる途中なんですが、どうなってるかなぁ。

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